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以心齎幸薬房
富士美薬局

【冷え性】

手、腰、足などに耐えがたい冷たさを感じる…。こんな症状でお悩みの方は多いのではないでしょうか。冷え症は男性より女性に圧倒的に多く、高齢になるほど冷えを訴える人が増えます。冷え症とは、体の特定の部分のみを特に冷たく感じ、耐えがたい場合を言います。冷えを感じる部位は、手、足、おなか、腰、背中、肩など人によって様々ですが、一般的には、手足の冷えを訴える方が多いようです。

冷え症と他の病気との関係

体が冷えることで、もともと持っている病気が悪化することがあります。関節リウマチ、喘息、膀胱炎、花粉症は、冷えで悪化する病気と言われています。さらに、冷えが心身の不調を引き起こすこともあり、なかでも痛みとの関係が深いようです。これは体が冷えて血行不良となり、さらに新陳代謝機能も悪くなって、頭痛、肩こり、腰痛、膝痛、生理痛などの痛みの症状が起こると考えられます。また、足や顔のむくみ、めまい、生理不順などが起きることもあります。

冷え症の原因は…

体内で作られる熱（産生熱）が少なかったり、体外へ出す熱（放散熱）が多いなどの乱れが挙げられます。その他に、体内で作られる熱（産生熱）は血液循環によって体の隅々まで運ばれますので、血液循環が悪いと冷え症が引き起こされます。これら以外にも、心臓病、甲状腺機能低下症、膠原病などの病気によって起こることもあります。

“冷え性”と“冷え症”の違いは…

“冷え性”は冷える性質ととらえ、“冷え症”は冷えの症状ととらえます。西洋医学では冷えを性質と考えて一般的に治療の対象とはしないようです。しかし、漢方（東洋医学）では冷えを症状ととらえ、治療の対象にします。

現代医学の治療は…

現代医学では冷え症という病気はなく、冷えるという体質的なものであると考え、検査で異常がなければ治療の対象から外れます。心臓病、甲状腺機能低下症、膠原病などの原因が特定されれば、その病気の治療が行われますが、原因が特定できない“冷え”は現代医学が不得意とする分野と言えます。

冷え症と漢方薬

冷え症を東洋医学的にとらえると、いくつかのタイプに分類することができます。今回は、代表的なタイプをご紹介いたします。

Ａ．陽気不足タイプ（体を温めるエネルギーが不足している状態）

このタイプの方は、食欲不振・下痢などを起こしやすい等の胃腸虚弱があったり、風邪をひきやすい、疲れやすい、夏でも手足が冷たいなどの症状を伴うことが多くあります。

Ｂ．瘀血（おけつ）タイプ（血液の循環が悪い状態）

このタイプの方は、頭痛・生理痛・腰痛・関節痛・肩こりなどの症状が重い方に多く見られます。

Ｃ．痰湿タイプ（体にたまった水分により、陽気や血液が循環していない状態）

このタイプの方は、むくみ、めまい、胃腸機能低下、雨の日に体調が悪くなるなどの症状を伴うことが多くあります。

Ｄ．気逆タイプ（下半身の陽気が上半身に上昇した状態）

このタイプの方は、体の陽気のバランスが崩れるために、足が冷えるのに、顔がのぼせるということが起こります。

※ストレスや生活習慣の乱れがあると、Ａ～Ｄのタイプが複数重なっている場合も少なくありません。まずはお気軽に、体のご様子をお聞かせ下さい。

冷え症を楽にする養生法

毎日の生活の中で、ちょっとした心掛けで冷え症を軽減できたり、漢方薬の効果を出しやすくする方法があります。

１．エネルギー源となる食事をしっかりと摂りましょう。

産生熱を増やすためにも、しっかりと食事を摂ることが大切です。ただし、生ものは体を冷やしますので、なるべく火を通したものの割合を多くしましょう。また、不規則な食生活はエネルギー切れを引き起こしますので、規則正しい食生活を心掛けましょう。

２．お風呂にゆっくりと入り、体を芯から温めましょう

シャワーだけで済まさず、湯舟にゆっくりつかりましょう。温度は３８℃前後の微温熱が理想とされ、高温浴よりも体の芯まで充分に熱が運ばれます。

３．熱を逃がさないようにしましょう

体外に放散する熱を減らすためにも、重ね着をしたり床に就くときは、湯たんぽを活用すると良いでしょう。（電気毛布・あんかは、乾燥するのでおすすめしておりません）

４．こまめに体を動かしましょう

たまにスポーツするのも良いですが、できればまとめて動くよりも普段の生活の中でこまめに動くのが効果的です。特に歩く機会を増やして体を動かす習慣をつけると良いでしょう。